【2017 南仏の夏】タルヌ川でカヌー

 南フランスではよくカヌーで川下りをしている様子を目にしますが、私も体験することになりました。

 ヘルメットをかぶり、貴重品はカヌーの中に仕舞い、へっぴり腰でそっと座ってみる。私は主人と二人乗りで、前の席に座りました。子供の頃からとても運動神経が悪く、オールを握ってみたものの邪魔なだけだと見解が一致し、私はいっさい漕がずに座っているだけの人に決まりました。

 川幅がとても大きく、比較的ゆったりとした流れでした。雄大な山に囲まれ、見上げれば南仏の青空と大きな太陽。鴨と同じ目線で水面の輝きを感じ、同じスピードで進んでいく。まるで映画のよう。

 なのになのに。私は本当に場違いなぐらい「ぎぇ~!」と絶叫して終始硬直しっぱなしでしたが、他の人たちはどこまでもゆったり。川の中の岩場に腰を下ろして読書をしているマダムがいたり、みな心から自然を楽しんでいました。水上、カヌーという不安定この上ない環境に、身をゆだねることができない私は、びくびくギスギスし通しです。

川下りのコースはかなりの距離があるので、時間が経つにつれさすがに少しずつ冷静さを取り戻してくると、今度はこの大自然を楽しまなければ損だと思い始め、意を決して川の中に入ってみることにしました。他のフランス人たちのように笑顔でジャンプはできません。恐る恐る足を入れてみて、半ばずり落ちたように、一応川へ入ることに成功しました。

すると、落ち着いてみると…。なんて冷たく透明な水。私の周りを小魚の集団が通り過ぎていくのが見えます。太陽が水中に溶けていく。水の中まで陽射しが通る。川の真ん中に、自分が立っている。周囲は森と青空だけ。

川の水の中に入って冷たさや流れを感じるというのは子供の頃以来で、自然のエネルギーを満タンに補給した気がしました。

 帰りは近くの小さな村で休憩。

はちみつが採れる村なだけあり、カフェでお茶をしていてもあっという間に蜂10匹くらいに囲まれます。ですが皆慣れているのでそのままゆっくりくつろぎ続けるのです。私だけがビクビク。

 いろんな意味で、自分がひ弱な都会っ子であるような、そんな私でも平等に自然に愛されたような、大地のエネルギーを一身に浴びてくたくたの1日となりました。

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